B 設立趣旨
現在国内に30万人以上いる視覚しょうがい者にとって、昨今の携帯電話やブロ−ドバンドの普及によるインタ−ネット利用の拡大は、健常者との情報格差をより顕著なものとする傾向にあります。 国策としてしょうがい者基本法や交通バリアフリ−法の制定によるしょうがい者や高齢者に対する公的支援により、ハ−ドウェア面の対応は進められてきましたが、それらを利用したソフトウェアやコンテンツの対応は大幅に遅れている状況にあります。 情報のバリアフリ−化やユニバ−サルデザインの導入といった、ソフトウェア面での拡充は官民一体となった取組みがなくては実現するものではありません。
こうした対処の遅れの一つに、視覚しょうがい者に対する「道案内」の表現規格が挙げられます。 例えば、公共機関やレジャ−施設のホ−ムペ−ジには、それぞれの施設への道案内が掲載されています。 多くの場合、この道案内は地図によって示されていますが、地図による道案内では、画像を正確に認識できない視覚しょうがい者や視力の衰えた高齢者に対してはあまり価値が見受けられないようです。
そこで、私達は、『画像に頼らなくてもその目的の施設まで行くことが出来るように』というコンセプトのもと、誰にでも作りやすく解りやすい、文章による道案内表現として「ことばの道案内」の規格化、作成を進めております。この「ことばの道案内」は、目的の施設の最寄り駅から目的の施設までの道のりを言葉で説明し、道案内を行うものです。
「ことばの道案内」を規格化し、世の中に広く普及させることにより、視覚しょうがい者や高齢者に「外出」という社会参加と自立への第一歩を踏み出すための支援ができるものと考えております。 また、健常者にとっても地図のような画像による情報だけでなく、「ことばの道案内」を利用して頂くことにより利便性が増すものと考えております。 すなわち、「ことばの道案内」を世の中に広く普及させることが、道案内情報についてのバリアフリ−化を実現させ、視覚しょうがい者や高齢者に対するノ−マライゼ−ションの一助となるわけです。以上の目的を達成するべく、私達は「特定非営利活動法人ことばの道案内」を設立し、一人でも多くの視覚しょうがい者や高齢者の社会参加を支援できるよう、より多くの施設の「ことばの道案内」の制作を目指すと共に、「ことばの道案内」の更なる普及を目指していきたいと考えております。